
ペルソナ中心のUIデザイン

現場でデザインしていると、「何を作るか」が決まった状態で仕事が来ることがあります。画面を作る力は、それで身につきます。ただ、その手前を自分で決める力は、作っているだけでは身につきません。
このトレーニングは、そこを扱います。誰の、どんな場面のために、何を解くのか。それを自分で決めて、UI体験の提案として形にするまでを一通りやります。
お題を1つ決めて、4つのセッションを通して1つの提案を作り上げます。
ここで言う「提案」は、作ったものを見せることではありません。
誰の、何が引っかかっていて、だからこういう体験にする。
この筋を通して見せることが提案です。作ったものだけを見せると「なぜこれなのか」に答えられません。逆に、筋が通っていれば、作ったものが粗くても議論は始まります。このトレーニングでは、その筋を自分でつくる練習をします。
用意しているのは、社内向けの本レビューサービス「BookShelf」の投稿体験を提案するというお題です。
企画段階で、画面も仕様も何も決まっていません。上司からの依頼はこうです。
まず投稿が生まれることが大切だけど、このままだと誰も投稿しない気がしている。何が引っかかっているのか、それに対する体験の方向性と具体案を提案してほしい。
つまり、何を作るかが決まっていない状態から始まります。 ユーザーを決めるところから、プロトタイプを作って提案にまとめるところまでが範囲です。
自分の題材で進めてもかまいません。 ポートフォリオに載せたいものでも、今の仕事で担当しているプロジェクトでも大丈夫です。迷ったらBookShelfで始めてください。
このトレーニングの中心にあるのは、ユーザーの課題を解決した「理想の状態」を判断軸として自分で定義し、そこからUI体験を組み立てることです。
1. ユーザーの課題を、自分で定義する力(セッション1) 年齢や職種を決めるのではなく、利用シーンから具体的な人を立ち上げて、その人が何に引っかかっているのかを言葉にする。
2. 課題から、体験のアイデアを組み立てる力(セッション2) 機能を思いつくのではなく、「その人がどう行動している状態を作るのか」から考える。
3. 自分のアウトプットを、自分で評価する力(セッション3) 作ったものを、ユーザーの目で見て改善点を出す。何を基準に判断するかを自分で持つ。
4. 考えた過程を、人に伝わる形にまとめる力(セッション4) 提案として、目的と具体を結んで見せる。
言われたものを作るのではなく、チームが達成したい目標(数値や施策の目的)に対して、ユーザーのゴールを踏まえたUI体験を提案できるようになります。
企画の初期段階から関われるかどうかは、この筋を持っているかで決まります。「この画面をこうしましょう」ではなく「このユーザーのここが引っかかっているので、こういう体験にしましょう」と言えるかどうかです。
「この機能が作れます」ではなく、「ユーザーの目的に対して、課題と配慮を踏まえた体験を提案しました」と見せられるようになります。
作るだけならAIでできる時代になりました。そのぶん、提案できる人の価値が上がっています。 完成品の見た目より、そこに至る考え方が見えるポートフォリオのほうが強くなります。
4つのセッションで進みます。1つのお題を、通して育てていきます。
利用シーンを決めて、そのユーザーのゴールと行動フローを具体化し、課題と配慮を出します。
残るもの:利用シーン/ユーザーゴール/行動フロー/課題と配慮
課題と配慮からアイデアを出し、理想の行動の流れに落として、3つの方向のLow-Fiプロトタイプを作ります。
残るもの:3つのアイデア/デザイン要件/Low-Fiプロトタイプ
自分で決めたデザイン要件を基準に、作ったプロトタイプを体験して改善点を出します。そして、次にどこへ戻るかを決めます。 ユーザー像の理解が足りないのか、体験の具体化が甘いのか。判断してセッション1か2に戻り、もう一周します。
残るもの:改善点と、次の一周の計画
ここまでで分かったことと改善点を、チームに共有できるドキュメントにまとめます。答えを出す資料ではありません。 探索の段階なので、「今わかっていること」と「まだ分からないこと」を両方載せた、議論のための叩き台を作ります。
残るもの:提案ドキュメント
合計12時間。2週間が目安です。
時間が取りにくい人は3週間でも大丈夫です。ただし、途中で1週間以上空けないでください。 1つのお題を通して育てる形式なので、間が空くと前回考えたことを思い出すところから始まります。
まとまった時間が取れなくても進められます。セッションの中はステップ単位で区切れるので、1日30分ずつでも大丈夫です。
どのセッションも、この形で進みます。
チェックは合格判定ではありません。 全部クリアしないと次に進めない、という作りにはしていません。この段階で完璧になる人はいないので、引っかかったまま進んで大丈夫です。セッション3で必ず戻ってくることになります。
ひとりで動画を見ながら進める形式なので、「これで合っているか」が自分だけでは分からなくなります。 そこを埋めるのがチェックと相談です。詰まったら、途中のもので構わないので出してください。