
ペルソナ中心のUIデザイン
出したアイデアを、「実際にどう使われるのか」の流れまで具体化すること。 これがこの回のゴールです。
書くものは2つ。理想の行動の流れと、それがどういう利用シーンなら成立するかです。
これをやらないと、けっこうな確率で「じゃあこの機能を作ればいいね」に戻ります。
アイデアのままだと、頭が勝手に機能の話に着地してしまうんですよね。「トピックを立てて書き込める」→「じゃあスレッド機能だ」みたいに。でも僕らが作りたいのは機能ではなく体験のほうでした。
ここで理想の行動を具体化しておくと、UIを作るときの基準になります。しかも、作ったあとに「ちゃんとこの体験になっているか」をチェックする物差しにもなるんですよね。作りながら主観になっていくのを防いでくれます。
アイデア → 理想の体験に落とす(今回) → パターンを決める → デザイン要件 → プロトタイプ
① アイデアを、理想の行動の流れに落とす
ユーザー理解のときに書いた「機械的なフロー」に近いイメージです
② それがどういう利用シーンなら成立するかを考える
誰が、いつ、どんな時にそれをやるのか
①だけだとまだ機能に寄ってしまうので、②までやるのがポイントです。
前回出した「本にまつわるトピックを立てて、そこに書き込みができる」というアイデアでやってみます。
1. 「論理的に話すのが苦手だな」と思って、そのための本を読むことにした
2. サービス上に、そのテーマで書き込める場所を作る
3. その場所に本を紐付ける
4. 読みながら、思ったことや学びだと感じたことを投稿していく
5. 他のメンバーも、そのトピックについて書き込める
6. 結果、自分のインプットに加えて、他のメンバーの知見やアドバイス、なんなら励ましも得られる
7. 👉 ゴールだったスキルアップにつながる確率が上がる
こんなふうに、最後がゴールに着地するところまで書けると気持ちいいですね。「理想的にはこうなるといいよね」という絵が見えている状態です。
ここが本番で、ここが一番難しいです。
まとめると「仕事に関するトピックを立てて、みんながコミュニティ的に投稿できる環境があるといいよね」という話なんですが、じゃあ実際にどういう時にユーザーはそれをやろうと思うのか。ここまで出せるとかなり強いです。
出してみるとこんな感じです。
🙋 新しいプロジェクトにアサインされた時
チームでキャッチアップすべき情報ややり方を決めるタイミングがありそう。そこでスレッドを立てて、みんなで書き込んでいく
🙋 相談したいこと、疑問が出た時
「このスキル気になるな」でとりあえずトピックを立てる。たとえば note でバズっていた「AIの◯◯の使い方」みたいな記事を見た時とか
🙋 上司が後輩に目標を設定する時
「今回デザインシステムやるから、この本読んでみよう」となったタイミングでトピックが立つ
🙋 上司自身のキャッチアップ
新しいクライアントがこういう人だから、この辺を押さえておこうかな、というケース
ここまで書くと、「本当にこれやるの? ただの理想像じゃない?」というモヤモヤがだいぶ消えます。逆に、書けないなら書けないで収穫なんですよね。「あ、自分はこのユーザーのこの部分を知らないんだ」という気づきになる。それはそれで次にやることが決まります。
1. 最後がゴール(なりたい状態)に着地しているか 👉 途中で終わっていたら、まだ機能の話かもしれません
2. 「この人、こういう時にやりそう」と絵が浮かぶか 👉 浮かばないなら②の利用シーンが足りていないサイン
面白いのはここからで、体験が具体になると作るものの想像がつきます。
たとえば「プロジェクト開始時点でトピックを立てる」という利用シーンがあるなら、👉 プロジェクトごとにスレッドを立てられる仕組みがあったほうがいいかも、となる。
「他のメンバーの投稿があるとスキルアップにつながる」なら、👉 他の人が投稿しやすくなる工夫、促せる工夫があったほうがゴールに効きそうだな、となる。
これが「機能を満たせばOK」との違いです。どういう工夫をすればユーザーの目的につながるかで考えられるようになる。そこから「じゃあ画面はどうしよう」に進んでいきます。
もうひとつ大きいのが、作ったあとに使えるということです。
デザインって、作っているうちにどんどん主観になっていくんですよね。「まあこれでいいか」が積み重なって、気づいたら最初の目的から離れている。よくあります。
でもここで理想の行動を定義しておくと、作ったあとに当てられます。
🔍 このUIで、書いた理想の行動の流れは本当に踏めるか?
🔍 想定した利用シーンの人が、これを使う気になるか?
自分のデザインがちゃんとできているのか、目的や課題に対して答えられているのか。それを自分で判定できる状態になる、ということですね。ここがけっこう効きます。
一番言いたいのはここです。
❌ アイデアが浮かんだ 👉 すぐUIにする
✅ アイデアが浮かんだ 👉 どういう体験なら実現されるのかを書く 👉 UIにする
間に1枚挟むだけで、出てくるものがぜんぜん変わります。しんどいんですが、ここをサボると結局「動けばいいや」になっちゃうんですよね。
出したアイデアに対して、体験の具体化をやってみてください。
ブレストは大事なので、AIを使うのは全然ありです。ただ、AIが出すものが必ずしも正解でもリアルでもないので、そこは注意して使ってもらえたらと思います。特に②の利用シーンは、リアルさが命なので。
👉 次は 「制作するパターンの選択」 です。ここまで出したアイデアの中から、実際に形にするものを選んでいきます。