
ペルソナ中心のUIデザイン
決めたデザイン要件をもとに、パターン全部をプロトタイプにすること。 これがこの回のゴールです。
作り込む必要はありません。触って体験できれば十分です。むしろ作り込まないでください、というのがこの回の一番のメッセージかもしれません。
次のフェーズは、作ったものをチェックして改善に回すところです。そのチェックの対象がここで作るプロトタイプになります。
アイデア → 理想の体験 → パターンを決める → デザイン要件 → プロトタイプ(今回) → チェックと改善
言葉の上でアイデアを整理してきましたが、それが本当にどういう体験になるのかは、触ってみないと分かりません。
理想の状態に近づいているのか。そのズレが、形にすると一気に見えるようになります。実際、この記事の後半でプロトタイプを見てもらいますが、「ここはこうなんじゃないかな」「ちょっと違和感あるな」と感じるところがあると思うんですよね。その感覚が大事です。体験できるから拾えるものなので。
今回のお題だと、社長みたいな人から依頼が来たという設定ですよね。プロトタイプがあれば、その人に触ってもらって「改めてどう思うか」を確かめられます。
人の気持ちって変わるし、言葉ってけっこうあやふやなんですよ。触れる形があると、明確な意見を引き出せます。プロジェクトの早い段階でこれができると、ビジネスやエンジニアリングの視点も先に集まるので、ミスも減ります。
言葉だけで終わらせず、体験でチェックする。 そのためのプロトタイプです。
前回まとめたデザイン要件の、特にこの2つです。
実現したい利用シーン
体験フローのイメージ
これを「体験できるUIの形」に変換したものがプロトタイプになります。要件の④で書いた流れが、そのまま画面の流れになるイメージですね。
今回はローファイ(粗いプロトタイプ)です。なのでビジュアル・ボタンのサイズ・色・オブジェクトのスタイル、この辺は一切気にしなくていいです。
確認したいのは「この方向性で、僕らが解決したい課題は解決できそうか」「理想の体験になっていそうか」。それを早めに確かめるために作るので、作り込む意味がないんですよね。
🗒 画面の中に何の情報が必要か、順番の優先度はどうか、抜け漏れはないか
👉 こういう情報設計の話は、ここでは全部捨てています。「ゼロから始めるUI情報設計」のレッスンでやる内容なので、ハイファイを作るときにそちらを参照してください
ここだけは本当に守ってほしいところです。
❌ タイトル「あああああ」/コメント「テストテスト」/Lorem ipsum
✅ 実際に投稿されそうなトピック名、人っぽいアイコンと名前、リアルなコメント
なぜダメか。実際の体験と全然違うものになるので、使うときのイメージが湧かないからです。
設定した理想のフローが本当に行えそうか、プロトタイプでチェックするのが目的なのに、中身がダミーだとそれができません。リアルな情報が入っていると、こういうことに気づけます。
これが次のチェックにつながっていきます。AIを使えば文言もすぐ出ますし、要件がここまで整っているなら精度も出ます。粗くていいので、必ずリアルな情報を入れてください。
重要な体験がある程度できればOKです。作り込まないでください。まだそういうフェーズではありません。
具体化して触ってみると、考えていたものと実は違ったり、もっと考えたほうがいいことが見つかったりします。
比較できるのがパターンを作った理由でした。大変に思うかもしれませんが、今はAIがあるので大変じゃありません。
| 方法 | 評価 |
|---|---|
| AI | 圧倒的におすすめ。ローファイなら一番早いし、リアルな情報も入れて作ってくれる |
| 手書き | 昔のペーパープロトタイプ。AIに指示する前の整理として挟むのはアリ |
| Figma | 悪くないが、作り込んでしまう危険とコードベースより遅い点がある |
僕は今回、全部AIで作りました。Claude Code で Opus 5.0 を使っています。
渡したのは、みなさんが書いているであろうデザイン要件だけです。解決したい課題、実現したい利用シーン、体験フローのイメージ。それを渡して、まず質問や確認をしてもらって、どういうものを作るべきかを出してもらう。それでよさそうなら進めてもらう、という形です。
UIデザインにおけるAI活用の、一番分かりやすい事例だと思います。ワークフローにもう入っているべきものかなと。
動画では、僕が作った3パターンを実際に触りながら見てもらっています。ここでは何を作ったかだけ置いておくので、中身は動画で確認してください。
| パターン | 作ったもの |
|---|---|
| ❌ ダメな案 | 本のレビューを投稿するだけのサービス |
| ✅ 良さそうな案 | 突き詰めたいテーマでスレッドを立てて、本を紐付けて書き込む。「助けて」タグで疑問を一覧化 |
| 🔥 攻めた案 | プロジェクト単位。チームで読むべき本を追加して、読みながら投稿していく |
3つを並べて触ると、投稿のハードルが明確に違います。 他のメンバーの意見をシェアしやすいのがどれかも、触るとすぐ分かる。
考えていた時点では「そうかもね」くらいだったことが、体験すると明確に違う部分と、共通している部分として見えてきます。これはどれだけ言葉で整理しても出てこない感覚です。
提案するときも同じで、「レビュー案にはこういうデメリットがあります」と説明するより、触ってもらったほうが早いんですよね。「確かに」となる。比較できると気づきも増えるし、提案もしやすくなります。
1. ダミー情報がひとつも残っていないか 👉 残っていたら、その画面はまだチェックに使えません
2. 要件に書いた体験フローが、最初から最後まで通せるか 👉 途中で止まるなら、まだ形になっていません
見た目の完成度は判定材料に入れないでください。今はそこを見るフェーズではありません。
決めた3つのパターンを、デザイン要件をもとに形にしてください。
作ったものを比較すると、「この方向性のこのポイントは意味がなさそうだな」「課題に刺さらなそうだな」が自分で分かってきます。それがそのままUIの経験値になります。
| やったこと | 手に入るもの |
|---|---|
| アイデアを出す | 課題と配慮に効く、理想の状態の案 |
| 理想の体験に落とす | 理想の行動フローと、成立する利用シーン |
| パターンを決める | 良い / 攻めた / ダメ の3方向 |
| デザイン要件を決める | 何を作るのかの4項目 |
| プロトタイプを作る | 触って比較できる3パターン |
前のフェーズで「現状と課題」を捉えて、ここで「理想と、それを形にしたもの」まで来ました。
👉 次のフェーズは チェックと改善 です。作ったプロトタイプを要件に照らして確認し、改善点をまとめて次にやることを決めます。量としてはここまでより少ないはずです。おつかれさまでした。