
ペルソナ中心のUIデザイン
選んだ利用シーンを、時系列の流れに具体化すること。 これがこの回のゴールです。
しかもただの流れではなくて、2段構えで書きます。上に「実際に起こったこと」、下に「その時ユーザーが何を思ったか」。この下側が本体です。
次の工程で出す課題と配慮の材料になります。
課題っていきなり出そうとしても、ふわっとしたものしか出てこないんですよね。「めんどくさい」「手間」みたいな、誰にでも当てはまる言葉で終わってしまう。
でも「この人はこの瞬間にこう思っている」というところまで具体になっていると、どこに壁があるのかが自然に浮かんできます。 そのための現状理解が行動フローです。
利用シーン → ゴール → 行動フロー → 課題と配慮
ユーザー像、いわゆるペルソナと呼ばれるものを具体的に捉える。その一番の肝がここになります。
もうひとつ効いてくるのが、アイデアの質です。解像度が低いまま考えると出てくる案もふわっとするんですが、「この人はこの瞬間にこう困っている」まで見えていると、出てくるアイデアが一気に具体的になるんですよね。
書くものは2つです。
① 機械的なフロー — 実際に起こったことだけを、順番に書く
② リアルな考え・感情・行動 — その時ユーザーが何を考え、どう感じ、結果どうするか。セリフで書く
①と②は連動させます。①の各ステップの下に、②がぶら下がるイメージです。
②で書くのは3つあります。考えたこと(何を書けばいいんだろう)、感じたこと(ちょっと不安だな)、そしてその結果どういう行動を取りそうか。思考だけになりがちなので、感情と行動も意識して拾ってみてください。
たとえば利用シーンが「1on1で勧められた本を読んで、内容をシェアする」だとすると、①はこうなります。
この時点ではただの出来事の羅列です。ここに②を足していきます。
さっきの流れに、リアルな考えを入れるとこうなります。
1on1で「論理的に話すのがちょっと苦手だよね」とフィードバックをもらった
🙍 たしかに毎回うまく説明できてない気がする
上司から「この本読んだらいいんじゃない?」と勧められた
🙍 とりあえず読んでみるか
読み始めた
🙍 分かるところと分からないところがあるな…
🙍 勧めてもらったけど、ちゃんと吸収できるか不安になってきた
読み終わったので投稿しようとした
🙍 まとめるのめっちゃ大変じゃない?
🙍 これブログ級のボリュームになるよな
🙍 上司も見てるし、適当なこと書けないな
どうでしょう。ここまで書くと、普通に「感想をシェアする機能」だけ作ってもうまくいかなそうなのが見えてきませんか。
これは仮説なので、実際にインタビューしたら違う反応が返ってくるかもしれません。ただ、予想は立つんですよね。本を読んだノートって、正直「何書いたらいいんだろう」ってなるじゃないですか。そういう感覚を先に拾っておけると、あとの判断がぜんぜん変わります。
一番多いパターンです。
1on1をした → 本を勧められた → 読んだ → 投稿した
これだけだと「何々をやって、何々をやって」の羅列なので、機能を作る話になってしまいます。この時ユーザーが何を考えているかが分からないと、課題が出せません。
こっちも多いです。
🙍 やった、読み終わったから投稿しよう
一見リアルっぽいんですが、「投稿しよう」の中身が空っぽなんですよね。何を投稿するのか、その時に何を考えるのかが書かれていない。
書いてほしいのは、その行動を取ろうとした時に頭の中で起きていることです。
🙍 感想って言われても、何の感想を書けばいいんだろう
🙍 そもそもコミュニケーションの課題で勧められた本だし…
🙍 じゃあ「どういうアクションが取れそうか」を書くのがいいのかな
これがユーザーの思考の流れですよね。実際にUIと向き合う時にも、この頭の動き方がそのまま出てきます。だからここを書いておく意味があります。
まとめると、良くないのはこの2つです。
①はなるべく細かく刻む
「1on1をした」で止めるより、「悩みを相談した」「おすすめの本を紹介された」まで分けたほうがいいです。細かいほど②が書きやすくなるので、ここはケチらないほうが得です。
セリフっぽく、絵文字をつけて書く
これ、めちゃくちゃおすすめです。付箋に人の絵文字をつけて、その人が喋っているみたいに書く。それだけで想像しやすさが変わります。
逆に、ユーザーが喋ったり思ったりしない機械的な部分は、絵文字なしの文字だけで書けばOKです。書き分けると流れが見やすくなります。
ゴールが達成される状態まで書く
途中で止めず、その機能が完了するところ=前回決めたゴールに届くところまで書ききると、全体が見えます。
ツールはなんでもいい
個人的にはFigJamがおすすめですが、流れがちゃんと整理できるならドキュメントでも構いません。
本気でやるならインタビューが必要です。というか、このフロー全部そうなんですよね。
聞くのはこの3つです。
- その時、何をしたのか
- どういう感情だったのか
- なぜその行動をしたのか
これを拾っていくと「こういうことがあったんだな」という事実が分かります。すでに関わっているサービスなら、ある程度ユーザー像がイメージできると思うので、それに沿って書いてみるところから始めるのもありです。
やることは仮説でも取材でも同じで、いかに具体的に、リアルに整理できるか。ここが大事です。
自分の利用シーンで、行動フローを書いてみてください。
今回のお題だと、たぶん「本の感想シェアをやりたいんだよね」とそのまま作っても、投稿のハードルがめちゃくちゃ高いという話に行き着くと思うんですよね。部下目線だと、上司が見てるから適当なことは書けない。
じゃあ「どういうテンションで書き込んでほしいのか」が伝わるサービスにしないといけないよね、という話になってくる。感想400文字ドン、と置かれても、ほとんどの場合は書けないと思うんですよ。
こういうことに気づけるのが、行動フローを書く意味です。
👉 次は 「障壁と配慮を抽出する」 です。ここまでの3つを材料にして、いよいよデザインの軸を見つけにいきます。