
ペルソナ中心のUIデザイン
課題と配慮のひとつひとつに対して、「どうなったら理想か」のアイデアをたくさん出すこと。 これがこの回のゴールです。
ポイントはたくさんのほうです。1個いいのを見つけるフェーズではなくて、可能性を広げるフェーズなんですよね。
ここからは、いよいよ解決策を作っていくパートです。ただ、いきなり画面を作るわけではありません。
アイデアを出す(今回) → 理想の体験に落とす → パターンを決める → デザイン要件 → プロトタイプ
まずはアイデアを広げて、次にそれがどういう体験になるのかを具体化する。その順番で進みます。今回はその一番手前、発散の回です。
これ、めちゃくちゃやりがちです。
💭 このアイデアが良さそうだな。よし、これで作るぞ
気持ちは分かるんですが、まだ早いんですよね。この段階でやりたいのは、解決策の可能性を模索することです。1個目に思いついたものが一番いい、なんてことはあまりないので。
なので今回は、とにかく広げる。それだけ意識してもらえたらと思います。
出す軸はもう手元にあります。前のフェーズで整理した、これです。
課題(障壁)とその原因
配慮と、それがなぜ必要なのか
課題解決って、詰まるところこの原因を潰せばOKというゲームなんですよね。逆に言うと、ここがデザインの基準になっています。
だから、この軸を意識してアイデアを出します。頭の中だけでパパッと出すこともできるんですが、それだとせっかく整理した課題と配慮が置き去りになるんですよ。ユーザーのことをあれだけ考えたのに、それが乗っていないアイデアだけ残る、みたいなことになってしまう。もったいないですよね。
やることとしては、課題と配慮の数だけこれを繰り返すイメージです。
前回まで整理してきた「投稿のハードル問題」でやってみます。
課題と原因
🙍 普通に本のレビューを書くとなると、投稿のハードルが高い
原因:まとめるタスクが重い/ちゃんと書くには全部読まないといけない
原因:上司の目があるので、適当なことが書けない
つまり詰まるところ、書くのが大変で、評価されるのが怖いんですよね。逆に言えば、心理的なハードルがない方がちゃんとした投稿を書けるし、書きやすくなる。
じゃあこの原因をどうやったら取り除けそうか。ここを考えていきます。
出したアイデア
💡 レビューじゃない形にする
💡 本にまつわるトピックを立てて、それに関する書き込みができる(例:「論理的なプレゼン方法」みたいなテーマ)
💡 気軽に、思ったことをそのまま投稿できる
💡 書き手以外もコメントできる
💡 同じテーマに関心のある人が、そのテーマで書き込める
💡 社員が自由に、本について書き込める
こんな感じでバババっと出していきます。
レビューという形じゃなくなれば「まとめるタスクが重い」は解決できそうだし、気軽な投稿なら「評価される」感じも薄まりそうですよね。原因に対して、ちゃんと効いているかを見ながら出していきます。
面白いのは、アイデアが次のアイデアを呼ぶところです。「気軽に投稿できる」と書いたあとに、「でも軽く書いたら『こいつズレてるな』と思われるかもな」と引っかかる。じゃあ書き手以外もコメントできるようにすれば、そこで補い合えるんじゃないか。……という形で連鎖していきます。
引っかかったところを潰さずに、そのまま次のアイデアにするのがコツかなと思います。
機能のアイデアではなく、体験のアイデアを出してください。
正直、僕もやりがちなんですが、こういう書き方をしてしまうことがあります。
❌ タイムラインを作る
❌ Twitterみたいに投稿できる機能
これ、機能の名前なんですよね。この段階でここまで決める必要はまったくないし、むしろ決めないほうがいいです。書くならこっちです。
✅ 社員が自由に、本について書き込める
✅ 気軽に投稿できる
同じことを言っているようで、ぜんぜん違います。機能名で書くと、そこから発想が広がらなくなるんですよね。「タイムライン」と書いた瞬間に、タイムラインを作る話になってしまう。
ここで出したいのは、障壁が取り除かれて、配慮が効いている状態ってどんなものだろうというアイデアです。理想の体験のほう。手段はもっと後で考えます。
迷ったら、この2つを当ててみてください。
1. 機能の名前になっていないか 👉 なっていたら「どういう状態か」に書き換える
2. どの原因に効いているかが言えるか 👉 言えないなら、課題と配慮を見ずに出したアイデアかもしれません
②が特に大事です。せっかく整理した軸から離れていないか、の確認になります。
正直なところ、Webサービスの知識があるほどアイデアは出やすいです。どれくらいプロダクトに関わってきたか、見てきたかがけっこう出るところではあります。
なので、この段階でリサーチをしながらアイデアを出すのも全然ありです。むしろやったほうがいいくらい。今回のトレーニングではリサーチのパートは挟みませんが、現場ではセットでやってもらえたらと思います。
整理した課題と配慮のそれぞれに対して、アイデアを出してみてください。
繰り返しになりますが、ここは広げるフェーズです。絞るのはもっと後なので、今は数を出すことだけ考えてもらえたらと思います。
👉 次は 「理想体験を利用シーンで具体化する」 です。出したアイデアが、実際にどういう使われ方をするのかまで具体化していきます。