
ペルソナ中心のUIデザイン
行動フローの1ステップずつに対して、「課題(障壁)」と「配慮」を書き出すこと。 これがこの回のゴールです。
そしてここが、最初のフェーズの本丸です。利用シーンを決めて、ゴールを考えて、行動フローを書いてきたのは、全部この2つを出すためだったんですよね。
課題と配慮は、そのままデザインの要件になります。
次のフェーズでは「じゃあどんな体験を作ればいいか」「UIはどうするか」を考えていくんですが、その時の判断の軸がこれです。逆に言うと、ここが薄いと次でふわっとしたものしか作れません。
そして基本的には、この2つが出ていれば出ているほど、デザインの中身は面白くなります。 ここは出し惜しみしないほうが得なところです。
利用シーン → ゴール → 行動フロー → 課題と配慮 → 体験・UIのアイデアへ
その前に、ひとつ確認させてください。
ユーザーって、機能を使いたいとか、UIを触りたいとは1ミリも思ってないんですよね。なりたい状態があるから、仕方なくUIを触ってくれているくらいの認識でちょうどいいと思っています。お金を払うのも時間を使うのも、その先に行きたい状態があるからです。
だから僕らデザイナーが作るべきなのは、機能ではなく体験のほうです。なりたい状態に向かいやすくする流れをどう作るか。UIはその中の1要素でしかありません。
そう考えると、この2つを踏まえた体験が作れるとかなり強いよね、という話になります。
ゴールに向かって行動している途中に現れる、邪魔者
これが課題です。行きたい場所は決まっているのに、途中で道が途切れている。その途切れている部分、と考えると分かりやすいかなと思います。
たとえば「UI/UXデザイナーに転職したい」という人がいるとして、「何をしたらいいか分からない」「調べてもやるべきことが分からない」。これが障壁です。
これを取り除く、もしくは考慮したうえで何かを提供できれば、いい体験になりますよね。逆にここに配慮がないと「なんでそれやらなあかんねん」となってしまう。
大事なのは、ゴールがないと課題は生まれないということです。向かう先があって、そこに行こうとしているのに邪魔が入る。だからこそ課題になります。
ゴールに向かうのを後押しできる工夫
課題と似ているんですが、こっちは「こうしてあげたら、この体験もっとスムーズに進むよね」という視点です。ブーストするポイント、みたいなイメージですね。
課題が「詰まっているところを取り除く」だとしたら、配慮は「背中を押して、流れを良くする」ほう。壁がなくても、あったほうが体験が良くなるものは配慮に入ります。
「配慮」という日本語がちょっと硬いんですが、要はこの人の目的を考えたときに、この瞬間に何ができるといいかという話です。そう捉えてもらえると書きやすいと思います。
障壁を取り除く体験がデザインできれば満足度が上がるし、満足度が上がればお金を払ってくれる確率も上がります。課題と配慮を踏まえてデザインするというのは、そこまでつながっている話なんですよね。
行動フローの各ステップごとに、ゴールを意識しながらこの2つを問いかけます。
課題を出す問い 👉 この時にうまくいかないとしたら、それは何でだろう?
配慮を出す問い 👉 もしこうだったら、もっとやりやすいんじゃないか?
ポイントはゴールを意識してというところです。いろいろ書けてしまう場面もあるんですが、大事なのは「その人がなりたい状態に対する壁か、ブーストになるか」なので、そこを軸にします。
1ステップにつき1個じゃなくて大丈夫です。2個3個と出せるなら、どんどん書いていってください。
行動フローの中の「本を読んでみたけど、内容がちょっと難しいと感じた」という場面で出したものです。この人のゴールはスキルアップして仕事で活躍できる機会を得ることでした。
課題(障壁)
🙍 何書いてるか分かんない
🙍 上司に何て相談したらいいんだろう
🙍 「勧められた本、分かりませんでした」だと、はぁ…って言われるかも
🙍 相談しづらいな
さらに踏み込んで想像するとこうなります。この「相談しづらい」状態のまま、普通の本のレビューサイトみたいなものを作ったとしたら、そもそも内容が分かっていないので感想が投稿できない。結果として意見交換も起きないので、お題にあった「社内のコミュニケーション量を上げたい」に貢献できなさそう、というところまで見えてきます。
配慮
💡 1on1じゃなくても、先輩の知見を気軽に、細かく得られる機会が増えるといい
💡 検索では出てこないような知見に触れられるといい
この人のゴールと利用シーンを考えると、こういうことができるといいよね、という話ですね。課題と配慮は、書き方が違うだけでけっこう近いところにあります。
これ、めちゃくちゃ多いと思います。でも手間とかめんどくさいって、どんなことにも当てはまるんですよね。
本を読むのは行動が伴うので、そりゃ手間です。世の中のことは基本めんどくさいし、人間なんて生きてるだけでめんどくさい。だからこれは障壁ではないんですよ。
大事なのは、なんでめんどくさいのかのほうです。
❌ 本を読むのが手間
✅ 一人だとモチベーションが続かない
✅✅ なぜ? 👉 緊急性がないから / なぜ読むのかが自分で分かっていないから
下にいくほど情景が浮かびますよね。「一人で、仕事も忙しいのに勉強するの大変かもな」と想像できる。手間という言葉には背景がないんですが、こう書くと背景が見える。そして背景が見えると、何にアプローチすればいいかというアイデアにつながります。
解像度を上げるには「なぜ」を重ねる。これはテクニックとして覚えておくといいです。
これは最初ちょっと難しいと思います。
たとえば「本を読んでみたけど内容が難しくて頭に入らない」という場面で、課題として「そもそも知識がない」と書くパターン。
間違ってはいないんですよ。確かに障壁ではある。でもこの人のゴールは「スキルアップしたい」なので、知識がないのは前提なんですよね。これを書いても解決につながらない。お題の「社内のコミュニケーション量を上げる」からも離れていきます。
正しいんだけど、そういうことじゃないよね、というやつです。課題をたくさん出したあとに絞り込む時にも、この視点を使ってみてください。
とはいえ最初から完璧にはできないと思うので、「めんどくさい・手間で済ませる」だけは避ける、くらいで意識してもらえたらいいかなと思います。
自分が書いた行動フローの、各ステップごとに課題と配慮を出してみてください。
いきなり課題と配慮だけ出そうとしても、たぶん浮かびません。情景が具体的になっていないと、さっきの「手間」みたいな言葉しか出てこないんですよね。ここまでの3工程があるから書ける、という順番になっています。
ここで出したものが、次のデザインの軸になります。書いていきましょう。
👉 次は 「課題と配慮をまとめる」 です。出した付箋を、使える形に整理します。