
ペルソナ中心のUIデザイン
前回決めた利用シーンについて、「その人は結局どうなりたいのか」を言葉にすること。 これがこの回のゴールです。
機能の話ではありません。「〇〇できる」ではなく「〇〇な状態になりたい」を書き出す、と思ってもらえれば大丈夫です。
理由は2つあります。
課題って「ゴールに向かっている途中の邪魔者」のことなんですよね。向かう先が決まっていないと、何が邪魔なのかも決まらない。だからこの順番になっています。
利用シーン → ゴール → 行動フロー → 課題と配慮
ちなみに、ゴールと行動フローはどちらから先にやっても大丈夫です。けっこう関連しているので、行ったり来たりしながら考えることになると思います。
ひとことで言うと、こういうことです。
その利用シーンを通して、ユーザーが「なりたい状態」
目的、と言い換えてもいいですし、達成したい状態と言ってもいいです。呼び方はなんでもいいんですが、状態で書くのがポイントです。
分かりやすいのは自分で考えてみることかなと思います。みなさんが仕事をする目的って何ですか。「働きたいから」もあると思うんですが、その先にもっとゴールがありますよね。
こういう、その人が向かっている状態がゴールです。そしてこれが、そのままデザインの目的になります。
なお、ゴールには大小があって大丈夫です。サービス全体のゴールもあれば、1つの機能のゴールもある。今回は自分が選んだ利用シーンに対するゴールを考える、という粒度で進めます。
出品する人のゴールって何だと思いますか。もちろん1つではないんですが、分かりやすい比較ができます。
良くないゴールの書き方
簡単に出品できる
これ、ゴールじゃないんですよね。だって「簡単に出品できる状態になりたい」と思ったこと、たぶんないじゃないですか。
ゴールっぽい書き方
部屋にあるものを処分して、簡単にお金にできる
こっちのために出品するはずなんですよ。
上の書き方だと、「じゃあ出品機能を作ればいいよね」で話が終わります。 出品できればいいなら、正直なんでもよくないですか、という話になってしまう。
下の書き方だと、世界が変わります。「部屋のものを簡単に現金化できる」がゴールなら、たとえば出品前に相場がすぐ分かるのも、そのゴールに向かう手段になりますよね。実際にメルカリには、持っているものを検索すると相場が分かる機能があります。あれはこのゴールを達成するために存在している機能なんですよね。
つまり、どっちが先かという話なんですよね。
先にあるのは「ユーザーにとって価値のある状態をどう作るか」。機能はそれを実現するための手段でしかない。
順番が逆になると、「機能を作ること」自体が目的になってしまいます。ゴールの書き方ひとつで、提供できる価値の幅がここまで変わるんですよね。
迷ったら、この2つを当ててみてください。
1. 語尾が「〜できる」になっていないか 👉 なっていたら機能の話になっている可能性が高い
2. 「その人はそういう状態になりたいと思うか?」と言い換えて、違和感がないか
「簡単に出品できる状態になりたい」は変ですよね。でも「部屋のものを処分してお金にできている状態になりたい」は成立する。この感覚で判定できます。
やることはシンプルで、定めた利用シーンについて「何のためにやっているのか」を突き止めることです。どういう状態を目指しているから、その行動をしているんだろう、と考えていきます。
ポイントは、利用シーンの「なぜ」の部分です。ここが行動の理由につながっているので、そこから引っ張ってくると考えやすいと思います。
現場では本当はインタビューが必要です。ただ、インタビューをしても分かるのは事実なんですよね。「最近こういう本を読みました」「こういう背景があって」までは聞けるけど、その裏にある理由は半分くらい推測になります。
なので今回は仮説でいきます。仮に自分がその立場だったら、何を目指してそれをやるかなと考えてみてください。
こういうものが出てくるんじゃないかなと思います。自分が共感できるベースで考えるのが、一番考えやすいです。
ブレストして終わりにせず、出したものに対して「なんでそう思うんだろう」を重ねると、どんどん具体になります。これはトレーニングとしてやっておくといいと思います。
今回のお題(社内で本をシェアするサービス)で、成長したい部下を利用者として考えたときのゴール案です。かなりラフに出しています。
見ての通り、きれいな話ばかりではないです。
たとえば「勧めてもらわなくても知見が得られる状態」は、裏を返すと1on1を待たないと学べないのがもどかしいということですよね。「行動につなげたい」も、読んだだけで終わる感覚があるという前提があって出てきています。
最後の「上司にアピールできている状態」も、本音として持ってる人はけっこういると思うんですよね。かっこ悪いから外そう、とやってしまうと、あとで課題を出すときに材料が減ります。ここは遠慮せず出しておくのがいいです。
自分が選んだ利用シーンについて、ゴールをいくつも出してみてください。
こういう想像をしたことがない人ほど、最初は全然出てこないと思います。でもここを飛ばすと、いざインタビューをやっても困るんですよ。ユーザーは「私のゴールはこれです」なんて言ってくれないので、こちらが捉えにいくしかない。その練習だと思ってもらえたらいいかなと思います。
考えていることを形にする訓練。これもデザインの範疇です。
使うのは全然ありだと思います。ただ順番があって、まず自分で出してみる → 足りない・不安だと思ったら壁打ちする、がおすすめです。結局どれを採用するかは自分で判断しないといけないので。
👉 次は 「利用シーンの行動フローを具体化する」 です。利用シーンを時系列にして、ユーザーが何を思っているかまで具体化していきます。