
ペルソナ中心のUIデザイン
選んだパターンごとに、「何を作るのか」を4項目で書き出すこと。 これがこの回のゴールです。
いきなりプロトタイプを作り始める前に、要件を軽く定めておきましょう、という回ですね。ここを通すと、作るのが一気に楽になります。
ここまでで課題も理想の行動も決まっているので、方向性はもう固まっています。ただ、そこから具体的なUI体験の話が詰まっていないと、プロトタイプにはならないんですよね。
要件を決めておくと、こういうことが起きます。
特に3つ目と4つ目は現場でめちゃくちゃ効きます。
アイデア → 理想の体験 → パターンを決める → デザイン要件(今回) → プロトタイプ
ちょっと今さらな補足なんですが、この一連のフローはダブルダイヤモンドで言うと左側にいます。解決策を作り込む段階ではなく、まだ検討している段階なんですよね。
なので、プロトタイプといっても作り込みすぎなくて大丈夫です。プロトタイプには粒度の違いがあります。
ローファイ — 粗いプロトタイプ。課題や方向性が正しいかを検討するためのもの 👉 今回はこっち
ハイファイ — 文言や表現まで正確なもの。方向性が固まったあと、細かい表現を詰めるときに使う
今の目的は「この方向でいいか」の検討なので、ガチガチに作り込む意味がない部分がたくさんあります。そこはやらなくてOKです。
ちなみに、ひと昔前はローファイといえば紙に描くものでしたが、今はAIでガッと作れるので、ハイファイっぽいローファイが作れてしまいますね。
これが今回のフォーマットです。
① 一言でいうと、これは何か
② 解決したい課題と配慮
③ 実現したい利用シーン
④ 体験フロー — UIとしてどういう流れになるか
①〜③は、ここまでのフェーズでほぼ手元にあるはずです。集めて書き写すイメージですね。この3つで作るものの方向性が決まります。
そして④が、具体的に何をUIとして作るかに直結する情報になります。ここが今回の新しい部分です。
「気になるテーマのスレッドを立てて、メンバーが自由に投稿できる」という良さそう案でやってみます。
本のレビューではなく、本にまつわるトピックを立てて、実況的に投稿できる。他のメンバーもコメントができて、本の知見をみんなで貯めていける体験を目指す。
補足:内容の確認や分からないところ、疑問点も書き込める。心理的安全性があって、教える側もおせっかいにならないような体験
- 本を読んでみたけど、よく分からないことを相談できる機会があるとスキルアップにつながる
- 部下目線だと、変な投稿をして怒られたりするのが嫌 👉 この心理的なハードルも解決したい
ゴールと課題のところで出したものですね。障壁も配慮も、両方書いてOKです。
自分の仕事での興味のあるテーマ、悩んでいるテーマのスレッドを立てて、学習したことを書き込み、社内にシェアできる。シェアされた内容は否定される感じではなく、適切なアドバイスや参考になりそうな情報を他のメンバーからも得られる。溜まったデータは検索できて、他のメンバーや自分の見直しにも使える。
ここまで書くと、「ただ本を読むだけじゃなく、他のメンバーからも知見が得られる」というゴールに近づいているのが見えますね。
1. ユーザーが、自分で仕事の気になっているトピックでスレッドを立てられる
2. そのスレッドに、本(記事でもいいかも)を紐付けられる
3. 読みながら、大事なところや感想などを自由に書き込める
4. 悩み・疑問・他の人のヘルプが欲しいときは、タグや質問として明確にできる
5. タグがつくと、サービスの中で一覧で見られる(「悩み一覧」「誰か教えて一覧」みたいな)
6. スレッドは、立てた人以外も投稿できる
ここまで落とすと、「こういうプロトタイプ作ればよくない?」というイメージが湧いてきませんか。この流れが実現できる画面って何だろう、という考え方に自然と入っていけます。
1. ④の体験フローだけ読んで、画面が想像できるか 👉 できないなら、まだ粒度が粗いかもしれません
2. ④の1ステップずつが、②の課題や配慮につながっているか 👉 つながらないステップは、なんとなく足した機能かもしれません
②が特に効きます。作っているうちに増えていく「あったら便利そうな機能」を止めてくれます。
今の時代、作業をAIにお願いできるわけじゃないですか。もちろんこれだけで完璧にはいきませんが、この情報を渡せるかどうかで精度がぜんぜん変わります。
「こういうの作って」だけと、「こういう前提で、こういう課題があって、こういう体験を実現したいから作って」では、返ってくるものが違いますよね。
こうやってまとめる力って、そのまま設計する力=デザインの力なんですよね。持っておくとAIとの相性もかなりいいと思っています。
パターンにしたアイデアごとに、この4項目でまとめてみてください。
ちなみに僕は、ダメなアイデア(本のレビューができるだけのもの)は要件をまとめないつもりです。比較用に触れればいいので。良さそう案と攻めた案の2つについてまとめて、プロトタイプを作っていきます。
ここまで書けたら、あとは形にするだけです。作りながら迷ったらここに戻ってくる、というふうに行ったり来たりしながら進めていきましょう。
| やったこと | 手に入るもの |
|---|---|
| アイデアを出す | 課題と配慮に効く、理想の状態の案 |
| 理想の体験に落とす | 理想の行動フローと、成立する利用シーン |
| パターンを決める | 良い / 攻めた / ダメ の3方向 |
| デザイン要件を決める | 何を作るのかの4項目 |
前のフェーズで「現状と課題」を捉えて、ここで「理想と作るもの」を決めた、という形ですね。ここまでくれば、作るときに迷う場面はかなり減っているはずです。おつかれさまでした。